映画『13日の金曜日(2009年版)』は2009年公開のスプラッタ系ホラー作品。監督はマーカス・ニスペル。出演はデレク・ミアーズ、ジャレッド・パダレッキ、ダニエル・パナベイカー、アマンダ・リゲッティ。R15+指定。
映画史に残るホラー作品『13日の金曜日』のパート1から4をもとにしたリメイク版です。
映画『13日の金曜日(2009年版)』あらすじ
クリスタルレイク湖畔に建つ別荘へとやってきた大学生グループ。
時を同じくして、クレイという男もクリスタルレイクに来ていた。
クレイは、クリスタルレイクで行方不明になった妹を探していた。
妹を探しているうちに、クレイは大学生グループがいる別荘にもやってきた。
クレイの話を聞き、大学生グループの一人であるジェンナという女性が協力を申し出る。
クリスタルレイク周辺でクレイの妹を探す二人。
他の大学生グループもいくつかの組に分かれて行動し始める。
そんな彼らの様子を離れた場所から見ている男がいた。
やがて、男は彼らに近づき、無差別に殺し始めるのだった。
映画『13日の金曜日(2009年版)』感想
映画『13日の金曜日(2009年版)』のネタバレを含みます。
息子を想うあまりに……
『13日の金曜日(2009年版)』の冒頭で、ジェイソンの母パメラ・ボーヒーズは無差別殺人を繰り返した末に、首を切り落とされて殺害された。
パメラが殺戮を行う様子は、『13日の金曜日』シリーズで最初の作品にあたる『1』で描かれている。
息子ジェイソンがクリスタルレイクで溺れて死んだ際、監視員が助けなかったことを恨み、それ以後、クリスタルレイクに訪れる人々を無差別に殺害していた。
ジェイソンの死とは全く関係のない人々まで殺害していたことから、パメラはとっくに頭がおかしくなっていたと思われる。
パメラを動かしていたのは、息子を助けなかった者たちへの復讐心。そして、その復讐心のもとには息子ジェイソンへの深い愛があったのだろう。
息子を強く愛するあまりに狂ってしまった母。そう考えると哀れにも思える。
なお、『13日の金曜日(2009年版)』の冒頭でパメラを倒した女性は、ジェイソンの死には一切関係なく、ただクリスタルレイクに来たから襲われたという可哀想な人(詳しくは、『13日の金曜日パート1』参照)。
母への愛ゆえに
見つけた者はとにかく殺すジェイソンが、なぜかホイットニー(クレイの妹)だけは殺さずに監禁していた。
それどころか、ホイットニーの言葉に従うような様子も見せていた。
理由は簡単で、ホイットニーがジェイソンの母パメラに似ていて、そのパメラの写真が入ったロケットペンダントを持っていたから。
ジェイソンも人の子。母への愛情は持ち合わせていたようだ。
すでに人の心など失っているかのように見えるジェイソンだが、母への愛は失われておらず、それどころか、どうやらその『母への愛』が殺人の原動力になっているようだ。
つまり、『母はクリスタルレイクにやってきた若者に殺された』から『クリスタルレイクに来た若者を殺してやる』という狂った考えに行き着いてしまったのだろう。
全ては母への愛のため。そう考えると、ジェイソンは、元々は母親思いの優しい子だったのかもしれない。
愛が歪む
パメラもジェイソンも、その原動力は愛だった。
息子への愛、母への愛。
本来なら美しいものであるはずの愛だが、歪んでしまうと惨劇にも繋がる。
愛する人を殺された恨み。
愛が深ければ深いほど恨みも深くなる。
恨みは次第に精神を蝕み、思考を歪ませ、やがてパメラやジェイソンのような殺人鬼を生み出す。
パメラやジェイソンのような殺人鬼は何も特別なわけではなく、私達誰もが殺人鬼に変わり果てる可能性があるのかもしれない。
【本作】
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