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【映画】モーターサイクル・ダイアリーズ~あらすじと感想~純粋な魂は旅を通じて世界を知る

映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』あらすじと感想

映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』は2004年公開のロードムービー。監督はウォルター・サレス。出演はガエル・ガルシア・ベルナル、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ。

映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』あらすじ

1954年。23歳の医学生エルネストは旅に出発した。

親友のアルベルトと共に、たった一台のおんぼろバイクに跨っての旅だ。

エルネストは比較的裕福な家の生まれだが、この旅ではお金を持たず、したがって食べるものも泊まるところもない。

南米大陸を縦断するこの旅の中で、エルネストは、自らの故郷である南米大陸の現状をまざまざと見せつけられる。

かつて、文明が栄えたこの大陸も、今や貧しく、貧困にあえぐ人たちはますます苦しみ、病気の人達は虐げられる。

嘘を付くことができないほど純粋で真っ直ぐな心を持ったエルネストは、この旅を通じて、そして人々の出会いを通じて、真に人の役に立つにはどうしたら良いかと考え始める。

やがて、この旅は、革命家チェ・ゲバラの根っこの部分を形成する元となっていく。

映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』感想

映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』のネタバレを含みます。

貧困や病気に苦しむ人々

旅の中で、エルネストは貧困や病気に苦しむ数多くの人々と出会った。

先住民族や銅山労働者。

かつては南米大陸で巨大な文明を築いた先住民族も、今や貧困に喘いでいる。

銅山労働者たちは、まるで人間扱いされていなかった。

ハンセン病に苦しむ人達は隔離され、社会から切り離されていた。

貧困に喘ぐ人たち、病気で隔離される人たち。

根本にある原因は、一部の権力者や富裕層が彼らの居場所を奪ったから。

富む者がますます富み、貧しい者は貧しさから抜け出せない。

富む者が貧しい者を道具のように使う。

この現状を目の当たりにしたエルネストが社会主義的な考えに傾いていったのは至極当然だったのだろう。

若い頃の旅

エルネスト(チェ・ゲバラ)に限らず、『自分探し』などと称して旅をする人は今も昔もいるわけで。

旅をすることで人生が変わった、考え方が変わったという人もいることでだろう。

その一方で、『自分探しの旅』と称して観光地を渡り歩く人もいるようで。

考え方を根本から変えるような強烈な体験をしたいのなら、観光地から外れたところに行って、現地の人達と交流するのが一番だと思う。

日本の常識が一切通じない場所。豊かな日本では想像もつかないほど過酷な生活を強いられている人たち。

本やインターネットなどを使って知識を得るのは簡単だ。だが、知っていることと体験したこととでは根本的に異なる。

エルネストも、もしも旅をせずに本などで知識を得ただけだったら、革命家チェ・ゲバラになるほど心を動かされなかったかもしれない。

苦しむ人達から話を直接聞き、交流し、己の頭で考え、行動したからこそ、人生を変えるほどの経験ができたのだろう。

河を渡る

『モーターサイクル・ダイアリーズ』のラストシーンで、エルネストは河を泳いで渡った。

なぜ、そんなことをしたのか。

隔離された人々と誕生日を共に祝いたかった。きっと、ただそれだけだったのだろう。

誕生パーティーには河の向こうの人達は招待されず。

「ここに仲間がいないこと」がエルネストにとって耐え難いものだったのだろう。

純粋に、仲間に自分の誕生日を祝ってほしかった。仲間と誕生日を祝いたかった。

旅を通じて、虐げられている人たちと交流してきたエルネスト。

苦しんでいる人たちの役に立ちたい。彼らと共にありたい。

この旅でエルネストの心に芽生えた考えが、最終的に社会主義を目指した革命の元になった。

革命では武器を持ち戦ったエルネストだが、根本にあったのは苦しんでいる人たちを救いたいという優しさだったのだろう。

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