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【映画】隣人は静かに笑う~あらすじと感想~何かがおかしい、そう気付いた時にはもう……

映画『隣人は静かに笑う』あらすじと感想

映画『隣人は静かに笑う』は1998年公開のサスペンス映画。監督はマーク・ペリントン。出演はジェフ・ブリッジス、ティム・ロビンス。

アメリカではラストシーンが問題になって公開延期になった。

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映画『隣人は静かに笑う』あらすじ

マイケルは大学でテロリズムを研究している教授。息子が一人いるが、妻を亡くしていた。

マイケルの妻は元FBI職員で、潜入捜査中に殉職。その潜入捜査について、FBI側に不備があったのではないかとマイケルは疑っていた。

ある日、マイケルは家の近所で血だらけの少年を見つけ、救急病院へ連れて行く。

その少年は、マイケルの家の向かいに越してきたオリヴァー家の長男だった。

少年を助けたことで、マイケルはオリヴァー家族と親しくなる。

穏やかで、笑顔の絶えないオリヴァー家。

だが、ふとしたことがきっかけで、マイケルはオリヴァー家に疑念を抱く。

オリヴァー家について調べていくと、マイケルの疑念は更に深くなっていく。

はたして、オリヴァーは何者なのか?

信頼できる隣人なのか? それとも?

映画『隣人は静かに笑う』感想

映画『隣人は静かに笑う』のネタバレを含みます。

不気味な隣人

あなたは、隣近所にどんな人が住んでいるのか知っているだろうか?

私はよく知らない。

映画『隣人は静かに笑う』では、隣人はテロリストだった。

マイケルは、オリヴァーが名前を変えていること、そして過去に爆破未遂で逮捕(補導?)歴があることから、オリヴァーに疑いを持つようになった。

マイケル自身がテロリズムを研究していて、テロやテロリストというものに敏感だったのも疑いを持った理由かもしれない。

テロやテロリストなんて、どこか遠い世界のこと。大多数の方はそう思うことだろう。映画『隣人は静かに笑う』でも、マイケルがどれだけ主張しても、誰も信じてくれなかった。唯一、ブルックが死の直前に信じたが、それは自分の目で見たから。マイケルの主張だけでは信じることはなかっただろう。

隣近所にテロリストが住んでいるなんて、思いもしないこと。

だがテロリストだってどこかに潜伏しているもの。現実に起きているテロの実行犯だって、活動拠点はごく普通のアパートの一室だったなんてことは珍しくない。

映画『隣人は静かに笑う』のように、テロリストが隣近所に引っ越してくるなんていう状況は、決して非現実的なことではない。

動機

オリヴァーの動機は、行政機関に対する恨み。

現実にもいるだろう。相手を恨む気持ちが大きくなりすぎたのか、相手がいなくなるまで攻撃し続ける人。

人と人の関係なら、どちらかがその場から立ち去って、もう二度と会わなければ良いだけの話。

一方で、恨む相手が国だったら? その国の政府を転覆させてやるまで攻撃し続けることだろう。

オリヴァーの動機は、最初は家族が苦しむ原因を作った行政に対するものだったはず。それが次第に国に対する恨みへと発展して、テロリストになってしまった。

オリヴァーの動機を探っていくと、根本にあるものは、国を転覆させようとするほど大きな動機では無いように思えた。

その動機がオリヴァーの中で燻り続け、仲間を得てさらに増長していく。

仲間を得て、オリヴァーの中にあった恨みは、やがて正義へと姿を変える。

傍から見たら、オリヴァーのやっていることは暴力的で、テロ以外の何物でもない。

だが、オリヴァーとその仲間にしてみれば、悪の国家を転覆させるための正義の行いをしているだけ。

オリヴァーには罪の意識など無いのかもしれない。

ラストまで観ると……

映画『隣人は静かに笑う』のラストで、マイケルはまんまと爆弾を運ばされ、FBI本部を爆破した犯人に仕立て上げられてしまった。

このラストシーンを観ると、どうやら最初からマイケルは狙われていたようだと思える。

オリヴァーたちはFBI本部の爆破を計画していた。だが、自分たちの手を汚すつもりはない。実行犯が必要だ。

実行犯にはFBI本部を爆破する動機が必要。そこで目をつけられてしまったのが、FBIに不信感(恨み)を持つマイケルだった。

オリヴァーたちは、マイケルに狙いを定めてあの家に引っ越してきた。

そしてマイケルはオリヴァーたちの描いたシナリオ通りに踊らされてしまった。

おそらく、「オリヴァーの過去」というネタにマイケルが食い付いてこなかったら、二つ目、三つ目の策がマイケルに襲いかかったことだろう。

かくして、FBI爆破事件の単独犯とされてしまったマイケル。

現実でも、現状に不満を持った人がテロ思想に感化されてテロを起こしている。

映画『隣人は静かに笑う』は映画用に演出された物語だが、マイケルのようにテロリストにさせられてしまう人もきっといることだろう。

あの事件の前と後

映画『隣人は静かに笑う』が公開されたのは1998年。そして、9.11のテロは2001年。

9.11の前と後とでは世界は変わってしまった。

世界各地でテロが発生し、『隣人は静かに笑う』のFBI爆破テロも非現実的なものでは無くなった。

もしかしたら今、世界の何処かで、FBI本部を狙ったテロが進行中かもしれない。

映画『隣人は静かに笑う』のように、FBI本部などの象徴的な場所を狙ったテロがいつ起きてもおかしくないのが現在の状況ではないだろうか?

テロが遠い世界の出来事では無くなってしまった現在、この映画『隣人は静かに笑う』はもっと多くの人に観られるべき映画なのではないだろうか?

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