
いじめられっ子の男の子が、ある夜に女の子と出会うんだけど、その女の子はいつも裸足だったりして、ちょっと不思議な感じがする子で……

女の子の正体には、ほとんどの視聴者が早い段階で気付くと思うんだ

うん。二人の恋は応援したいけど、未来を考えるとちょっと複雑。二人が幸せになる方法ってあるのかな?
映画『モールス』基本情報とあらすじ
タイトル | モールス (原題 Let Me In) |
ジャンル | オカルト |
監督 | ウィリアム・フリードキン |
原作 | MORSE(著者 ヨン・アイヴィデ リンドクヴィスト) |
キャスト | コディ・スミット=マクフィー |
公開年 | 2010年(日本では2011年) |
年齢制限 | R15+ |
備考 |
あらすじ
アメリカの、とある田舎町。雪の降る夜、少年オーウェンは不思議な少女に出会う。
彼女の名はアビー。オーウェンの家の隣に越してきた少女だ。
身体が小さく、いじめられっ子であるオーウェンには友だちがいない。
そして、アビーもいつも一人でいる。それも、いつも夜中に、裸足で。
オーウェンとアビーは次第に仲良くなっていく。
同じ頃、オーウェンとアビーの住む町で、凄惨な殺人事件が発生する。
犯人と思われる男は自ら酸を顔面に浴び、その後、病院の窓から飛び降りて死亡。
事件を捜査する刑事は、オーウェンとアビーの住む団地に辿り着くのだが……。
映画『モールス』感想

ネタバレを含みます
Let Me In
映画『モールス』の原題は”Let Me In”。「入ってもいい?」というような意味です。
アビーの正体は吸血鬼。吸血鬼は「入ったことのない建物には許可をもらわないと入れない」という弱点があります。
アビーがオーウェンの部屋に入ろうとしたとき、わざわざオーウェンから許可をもらおうとしたのはそのためです。
許可をもらわなければどこにも入れないなんて、なんだか可哀想な気がしますね。まあ、招き入れたら血を吸われてしまうかもしれませんが。
拒んだ理由
アビーはオーウェンから友達になって欲しいと言われたとき、最初は断りました。
断った理由は、アビーが吸血鬼だから。
人間よりも遥かに長い時を生きる吸血鬼と人間とでは、友だちになることも難しいことなのでしょう。オーウェンは歳をとっていきますが、アビーはずっと12歳の見た目のまま。
アビーと一緒にいた男性、自ら酸を浴びて病院の窓から飛び降りた男性も、最初はオーウェンと同じだったのかもしれません。
アビーの家には、1枚の写真が飾られていました。写真の中で、男性は今よりずっと若く、一方でアビーは今と変わらない姿。
アビーは人間と一緒に過ごすことがどういう意味を持つのかを知っている。自分は変わらないまま。でも、一緒にいる人間は歳を取り、変わっていき、そしていずれ死んで自分の前からいなくなってしまう。
アビーは常に『残される側』。
映画『アデライン、100年目の恋』で歳を取らなくなった女性が恋することを止めたのと同じで、アビーも『残される淋しさ』を何度も経験してきたのかもしれません。
二人の未来
映画『モールス』のラストシーンでは、オーウェンとアビーが電車に乗ってどこかに向かう姿が描かれていました。
はたして、二人はどこに向かうのか?
血を吸わなければ生きていけないアビーは、同じところに長く留まることができません。怪しいと疑われる前に逃げなければいけません。
生きるために他人を殺さなければいけないアビー。そんなアビーと共に生きるオーウェン。
アビーは、その驚異的な身体能力を使って、危機を乗り越えることもできるでしょう。では、普通の人間であるオーウェンは?
アビーと生活を共にしていた男性のように、オーウェンもまた、いつの日かアビーのために死ぬ日が来るのかもしれません。または、警察に捕まって刑務所で生活することになるかもしれません。
そして、オーウェンが仮に寿命を全うしたとしても、二人にとって幸せであるかは疑問が残ります。
先に去るオーウェン。残されるアビー。
全く違う時間を生きる二人が、本当に幸せになる方法はあるのでしょうか?
オーウェンもいずれ、あの病院から飛び降りた男のように、アビーとの生活で悩み苦しみ死んでいくのかもしれません。
それでも、互いに心を通わせ、共に生きた日々は、二人にとって幸せなのかもしれませんね。
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