映画『ドラフト・デイ』は2014年公開。監督はアイヴァン・ライトマン。主演はケビン・コスナー。
NFLのドラフトの裏側で繰り広げられる熱い交渉は、まるでアクション映画を観ているかのようです。
映画『ドラフト・デイ』あらすじ
今日は年に一度のNFLドラフトの日。
クリーブランド・ブラウンズのGMサニーは、ライバルチームから、ある交渉を持ちかけられる。
その交渉に乗れば、今回のドラフトで最大の目玉選手を獲得できる。だが、ライバルチームが出してきた条件は大きすぎる。
悩むサニー。
確かに、その目玉選手を獲得できればチームを強くすることが出来る。
だが、本当に交渉に乗ってしまってよいのか?
そもそも、なぜライバルチームはそんな交渉を仕掛けてきたのか?
目玉選手になにか欠陥があるのか?
様々な思惑が飛び交う中、ドラフト開始の時間は刻一刻と迫ってゆく。
映画『ドラフト・デイ』ネタバレ感想
映画『ドラフト・デイ』のネタバレを含みます。
ゲームのようにはいかない
例えばテレビゲームやスマホゲームなら、能力値だけを見て選手の入れ替えをすれば良いチームが出来上がることだろう。
一方、現実世界ではそう簡単にはいかない。
能力が高くても、他の選手と上手くやっていけないかもしれない。
期待していたのに、怪我をしてしまうかもしれない。
私生活でなにか問題を起こしてしまうかもしれない。
選手が問題を起こせば、選んだ側も責任を問われることがある。「何であんなヤツを選んだんだ」と。
映画『ドラフト・デイ』の中でも、サニーに交渉を持ちかけたライバルチームがサポーターたちから責められるシーンがあった。
サポーターたちは自分が応援するチームのために真剣だ。真剣だからこそ怒るし、暴徒と化すこともあるかもしれない。
現実のドラフト担当者は、自分の職を、そして場合によっては自分の人生をかけて仕事をしているのだ。
その日じゃないといけないのか?
映画『ドラフト・デイ』では、ドラフト以外のイベントもあった。
中でも大きかったのは、恋人の妊娠と、父親の散骨の二つ。
サニーにとってドラフト当日は、おそらく一年で最も忙しい日。失敗したら職を失うかもしれない大切な日。
妊娠も、散骨も、どちらも大切なことはサニーも分かっていたはず。
でも「なにも今日じゃなくても……」という思いもあったことだろう。
サニーの恋人からしてみたら、妊娠したことを祝ってほしかったはず。一緒に喜んでほしかったはず。その一方で、同じ職場で働き、サニー同様にチームを大切に思っているからこそ、サニーに理解を示していたように思えた。
散骨をしに来た母親からしたら、最愛の夫のため、遺骨をフィールドに撒いてあげたい、息子にも一緒に祈ってほしいと願うのは当然のこと。
でも、どうも私はサニーに肩入れしてしまったのか、サニーの母親に対して「今日じゃなくてもいいじゃないか」と思ってしまった。
ましてや、サニーの父もサニーと同じ職に就いていたとのこと。サニーの父こそ、サニーの気持ちを汲んで「今日じゃなくていい。サニーに仕事をやらせろ」と天国から言っているんじゃないかと思えてしまった。
サニーの仕事。サニーの父の散骨。どちらも大切なのは分かる。だが、ドラフトの日はずらせない。散骨は翌日でも良いだろう。翌日にすれば、サニーもむしろ積極的に散骨に参加したのではないだろうか?
もう少し、サニーのことを考えてあげられなかったのかと残念に思う。
諦めない
映画『ドラフト・デイ』のクライマックスシーンでの交渉。予定とは別の選手を獲り、他チームが動揺する中、最初よりも良い条件を手に入れようとするギリギリの交渉。
交渉に失敗したらクビになるのはほぼ確実。何しろ、目の前にはサニーをクビにできる人物がいるのだから。
そんな状況下でサニーが採った行動は、最後まで攻めること。
攻めて、攻めて、攻めて、時間ギリギリまで攻めて、ついに最高の条件を引き出した。
交渉の途中で諦めたり妥協していたりしたら、あれだけの結果は得られなかっただろう。
守りも大切。だが、攻める時は徹底的に攻める。リスクを負ってでも攻めなければならない時はある。
そうして勝利した時、大きなものを手に入れられる。
人生で一発逆転、大成功を収める人は、人生の何処かの時点でリスクを負って攻めた経験があるのではないだろうか?
失敗は怖い。でもそんな恐怖を乗り越えた先に成功がある。
映画『ドラフト・デイ』の中で経過した時間はほんの数時間だったが、サニーにとってのこの数時間は数年、数十年を濃縮しても比較にならないくらい濃い時間だったのではないだろうか。
【本作】
映画『ドラフト・デイ』関連記事
才能と才能がぶつかり合う狂気のジャズセッション
白熱の自転車ロードレース。それぞれの思いを抱えながらペダルを漕ぎ続ける
かつての人気俳優が再起をかけて舞台に挑む