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【映画】アバウト・シュミット~あらすじと感想~定年退職後、仕事人間だった男が流した涙の意味は?

映画『アバウト・シュミット』あらすじと感想

映画『アバウト・シュミット』は、2002年公開。監督はアレクサンダー・ペイン。主演はジャック・ニコルソン。

定年後、独りになった男性の姿を描いた作品。

映画『アバウト・シュミット』あらすじ

保険会社で働いていたシュミットは、今日、定年退職の日を迎えた。

大出世したわけではない。フォーチュン誌の表紙を飾ったわけでもない。だが、真面目に勤め上げ、第二の人生を余裕を持って過ごす程度の資産は持っていた。

定年退職をして間もなく、妻が急死した。シュミットがちょっと外出している間の出来事だった。外出する直前まで妻は元気だったのに。

シュミットの一人娘の結婚式が間もなく迫っていた。相手の男は、そしてその家族も、とても品が良いとは言えない。

家にたった一人残されたシュミットは、キャンピングカーに乗って一人旅に出かける。思い出の地を巡るために。

映画『アバウト・シュミット』ネタバレ感想

映画『アバウト・シュミット』のネタバレを含みます。

真面目に働いてきたのに

映画『アバウト・シュミット』のシュミット氏は、仕事に真面目な男性だったようだ。

定年退職を迎えてみると、これと言ってやることがない。

様子を見に会社に立ち寄ってみても、頼りにされず。それどころか、シュミット氏が残した資料は全て捨てられている始末。

急死した妻の遺品を整理していたら、妻が過去に浮気をしていた証拠が出てくる。相手はシュミット氏が親友だと思っていた男。

一人娘からも邪険に扱われるシュミット氏。

人生を通して真面目に働いてきた男性の晩年として、あまりにも惨めではないだろうか?

せめて、妻が生きていれば、もっと違う生活があったのだろう。

だが、別れというのは必ず訪れるもの。シュミット氏のように、家に一人で残される男性も現実に少なくないことだろう。

せめて、過去は過去、今は今と、きっぱりと気持ちを入れ替えることができれば。

「私は一体何の役に立てたのか? 私が寄与できることはあったか?」などと悩まず、「残りの人生、目一杯楽しんでやろう」と思えれば。

人生を全く悔いなく生きている人なんて、ほとんどいないのではないだろうか?

後悔することはあっても、シュミット氏のように囚われてしまうことが無いように、気持ちを切り替えることが大切だろう。

涙のわけ

映画『アバウト・シュミット』は、シュミット氏が涙を流すシーンで終わる。

シュミット氏が涙したのは、自分が誰かの役に立っていると思えたから。自分を必要としてくれる人がいることに気付いたから。

シュミット氏は孤独だ。妻に先立たれ、一人娘は嫁に行き、親友とは険悪ムード。広い家の中にたった一人。

せめてシュミット氏が社交的な人物なら、新しい交友関係を築いていけるのだろうけど、どうもそういうタイプでは無いようだ。

シュミット氏が自分の生家を訪ねたシーンが印象的だった。自動車用品店(タイヤ専門店?)の店員に、自分の過去を語る。

また、シュミット氏は自分が卒業した大学で、明らかに迷惑がっている学生を相手に過去について語り続けていた。

初対面の相手でも、その相手が迷惑そうにしていても、とめどなく語ってしまうのは淋しいからだろう。現実でも、楽しそうに過去語りをしている人を見かけるが、その人は、もしかしたら家では一人で泣いているのかもしれない。

これから先は

映画『アバウト・シュミット』は、シュミット氏が涙を流すシーンで終わったが、シュミット氏の人生はこの先も続いてゆく。

きっと、孤独で淋しい人生を送っていくのだろうと想像できる。

この先、シュミット氏はどうなってしまうのか?

映画『アバウト・シュミット』が終わったとき、私には、シュミット氏はもう生きてはいないように思えた。

自分が死ぬ日を待って、孤独に日々をやり過ごすだけ。

シュミット氏には悪いが、私は、シュミット氏のようにはなりたくない。

考え方一つできっと人生は変わるはず。せめて、『自分ができなかったこと』と『孤独』に囚われることが無いように生きていきたい。

【本作】

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