【映画】大統領の執事の涙~あらすじと感想~奴隷制度末期から現代までを生き抜いた黒人男性の人生

映画『大統領の執事の涙』あらすじと感想
あゆき
あゆき

今日は『大統領の執事の涙』という歴史ドラマ映画のあらすじと感想を書いていくよ

あるふぁ
あるふぁ

奴隷の子として生まれて、奴隷制度が(一応)廃止になった後、ホワイトハウスで大統領の執事にまでなった黒人男性のお話です

あゆき
あゆき

事実を元にした物語で、アメリカで差別されていた黒人たちが差別撤廃を求めて様々な運動をしてきた歴史も学べるんだ

あるふぁ
あるふぁ

奴隷制度や公民権運動について扱った映画だけど、純粋に家族ドラマとしても楽しめる作品ですよ

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映画『大統領の執事の涙』基本情報とあらすじ

まずは、映画『大統領の執事の涙』の予告編ムービーをご覧ください。

タイトル大統領の執事の涙
(原題 Lee Daniels’ The Butler)
ジャンル

歴史ドラマ
家族ドラマ

監督リー・ダニエルズ
キャスト

フォレスト・ウィテカー
オプラ・ウィンフリー

公開年

2013年(日本では2014年)

備考

>>Wikipedia『大統領の執事の涙』ページ

あらすじ

セシルは奴隷の子としてこの世に生を受けた。

幼少時代、セシルは眼前で父親を白人に殺された。セシルの母親は精神をやられてしまった。

まだ奴隷制度が合法であった時代。少年セシルは単身で街へと逃げ出した。

腹をすかせたセシルは、とある飲食店に食料を求めて泥棒に入ってしまう。そこで出会った黒人男性に救われ、給仕として働き始めた。

実直に働き続けるセシル。やがて、セシルの真摯な姿勢が評価され、高級ホテルに、そしてついにはホワイトハウスにスカウトされる。

公民権運動、ベトナム戦争、米国初の黒人大統領。激動する歴史をホワイトハウスで働く執事としてセシルは見守り続ける。

一方、セシルの息子たちは、一人は公民権運動に身を投じ、一人はベトナム戦争に身を投じていく。

激動の時代を生きた一人の男と、その家族の絆の物語。

映画『大統領の執事の涙』感想

あゆき
あゆき

ネタバレを含みます

二つの顔

「白人用の顔と自分の顔を持て」と教えられたセシル。

白人に給仕するときは、自分を殺し、存在を消し、決して自分の意見を言わない。

二つの顔を使い分けることは、まだ黒人への差別意識が強く残る時代に、黒人が白人社会で生きていくための処世術だったのでしょう。

セシルは教えられた通りに二つの顔を使い分け、実直に仕事をし、ついにはホワイトハウスの執事にまで上り詰めました。

二つの顔を使い分けることは、現代の私達もやっていることではないでしょうか?

仕事の顔と家庭の顔。友人と一緒にいる時の顔と恋人と一緒にいる時の顔。『二つの顔』と言わず、いくつもの顔を使い分けている人もいるのでは?

その場にあった『顔』を使い分けること。決して「その場にあった『嘘』をつけ」という意味ではなく、気を緩めても良い場所、気を引き締めるべき場所の区別をはっきりさせて振る舞う、ということでしょう。

映画『大統領の執事の涙』のセシルも、同僚たちと談笑しているときはだらしなさそうな面を見せていましたが、いざ仕事となれば人が変わったように実直になりました。

二つの顔を使い分け、あるべき場所であるべき振る舞いをしたこと、そしてもちろん実直であったことが、セシルが成功した大きな理由だったのでしょう。

視点が変われば

長年、執事として働いてきたセシル。

ある日突然、パーティーに客として呼ばれ、初めて『客の視点』から自分の職場を見たセシル。

その時、セシルは『白人向けの顔』をしている仲間たちを、『白人の側から』初めて見たのでした。

セシルは、白人向けの顔をして執事を続けることで、自分と家族の生活を支えてきました。誇りを持ってよいはずです。

ですが、セシルは違和感を感じてしまう。

結局、セシルと『奴隷』は何が違うのだろう。白人社会で生きるために『白人向けの顔』をして白人に仕える。『奴隷』ではない。だけど、セシルの心は奴隷のままではなかったか?

理解し合う父と息子

白人社会で生きるために白人に仕えたセシル。

黒人の人権を本当の意味で取り戻すために戦った息子ルイス。

セシルは晩餐会に出席した時に、ルイスの考えを理解し始めました。

ルイスも、キング牧師の言葉で、白人に仕える黒人執事は戦士なんだと気付きます。

結局の所、方法は違いましたが、セシルもルイスも黒人の人権や権利などを取り戻すために戦っていたのです。

ただ、方法があまりにも違いすぎただけ。

ルイスの考えを理解し始めたセシルは、ルイスと共にデモに参加し、そして収監されました。

ほんの少しだけでしたが、ルイスがやってきたことを身をもって体験したセシル。

父親であるセシルが自分と同じ場所で、自分と同じ視点で運動に参加してくれたことは、息子ルイスにとってどれだけ嬉しかったことでしょう。

セシルもルイスも、根本ではずっと同じ考えを持っていたはず。黒人の権利回復を求め続けていたはず。

時間はかかりましたが、理解し合えた父と息子の絆は、もう揺らぐことすら無いほど強固なものになったのではないでしょうか?

奴隷制度を扱ったもう一つの映画『それでも夜は明ける』

映画『大統領の執事の涙』は、奴隷制度末期から、オバマ大統領就任までを描いた物語でした。

それよりも前、まだ奴隷制度が公に認められていた時代に、奴隷にさせられてしまった男性の物語が映画『それでも夜は明ける』で描かれています。

映画『それでも夜は明ける』は、ある黒人男性の手記を元にしたノンフィクション映画です。

『大統領の執事の涙』と併せて『それでも夜は明ける』もぜひご覧になってください。

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