映画『キャロル』は2015年公開のラブ・ロマンス映画。監督はトッド・ヘインズ。出演はケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ。PG12指定。
映画『キャロル』あらすじ
舞台は1950年代のニューヨーク。
テレーズは写真家になることを夢見ていた。だがまだ写真家としての仕事に就くことは出来ず、デパートで働いていた。
テレーズがデパートのおもちゃ売り場で働いていたところ、一人の美しい夫人と出会う。
夫人の名はキャロル。娘に贈るクリスマスプレゼントを探しに来ていた。
キャロルはおもちゃ売り場に手袋を忘れて帰ってしまう。その手袋をテレーズが手紙付きでキャロルに届けたことで、二人は再会する。
二人きりの昼食の席。キャロルは愛する娘のこと、そして、夫とは上手くいっていないことを明かす。
この昼食を期に、二人の心は急速に近づいていった。
映画『キャロル』感想
映画『キャロル』のネタバレを含みます。
人を愛するということ
キャロルには娘も夫もいた。
テレーズにも男性の恋人がいた。
キャロルもテレーズも、もともと同性愛者だったわけではない。
では、どうして惹かれ合ったのか?
人が人を愛するのに何か理由が必要だろうか?
キャロルはテレーズを愛した。
テレーズもキャロルを愛した。
愛した相手がたまたま同性だっただけ。
人が人を愛するのに理由など必要ない。
子供の幸せ
キャロルは娘の親権を諦め、面会権を求める方針に転換した。
なぜ、親権を諦めたのか?
理由は経済的なものだったのだろう。
キャロルは映画の終盤で、「家具店でバイヤーをする」と話していた。
これから先、キャロルは今までのような裕福な暮らしはできないだろう。ならば、娘は経済的に豊かな夫の元で育ったほうが良いと考えたのだろう。
キャロルにとってこの決断は決して容易なものではなかったはず。
キャロルと夫がそれぞれ弁護士を従えて話し合っていた場面で、キャロルが涙ながらに訴えていた姿から、この決断は人生を賭けるほどの大きなものだったのだと推測できる。
自分を偽りたくない
キャロルは娘の人生を台無しにしないため、そして自分を偽りたくないがために、娘の親権を夫に渡し、その代わりに面会権を要求した。
キャロルはテレーズと関係を持ったことを「後悔している」と言ったものの、それはあくまでも、テレーズと関係を持ってしまったことで娘の人生を台無しにしてしまいそうになったことを後悔したという意味だろう。
そしてその後の行動。キャロルはテレーズに手紙を送り、再会を望んだ。
これも、キャロルが自分を偽りたくないがための行動だったのだろう。
キャロルはテレーズを愛している。その気持が偽りではないからこそ、テレーズとの再会を願った。
再会した時、テレーズは決して喜びに溢れてはいなかった。キャロルと再会したいという気持ちがあったからこそ、テレーズはあの場に現れたのだろう。一方で、キャロルに対する怒りや不信感もあり、自分でも自分がどうしたいのか分からなかったのではないだろうか?
キャロルからの同居の誘い、そしてパーティーへの出席の誘いも断ったテレーズ。このまま二人の関係は終わってしまうのかと思われたが、テレーズはキャロルのいるパーティー会場へ。
キャロルの姿を見つけたテレーズ。
テレーズの姿を見つけたキャロル。
二人が見つめ合うシーンで映画は終わる。
その後、二人がどうなるのかはご想像のままに。
【本作】
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