【映画】富江~あらすじと感想~蘇る恐怖 富江って何なんだ?

映画『富江』あらすじと感想

映画『富江』は1999年公開のホラー作品。監督は及川中。出演は中村麻美、菅野美穂、洞口依子、田口トモロヲ。

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映画『富江』あらすじ

3年前、泉沢月子は交通事故に遭い、記憶障害となってしまった。

現在はカメラマンになるために学校に通いながら、同時に不眠治療のためにカウンセリングに通っている月子。

カウンセリング中、催眠状態の月子が「とみえ」という名前を口にする。

月子のカウンセラーである細野が自身のクリニックで仕事をしていると、一人の刑事が訪ねてきた。

この刑事は、ある一人の少女と、この少女にまつわる事件を追っているという。

その少女の名は「川上富江」だった。

同じ頃、月子が住むアパートの下の階に、一人の浪人生が引っ越してきた。

浪人生は「何か」を育てている。

やがて、その「何か」は人の形となり、少女となった。

映画『富江』感想

映画『富江』のネタバレを含みます。

そもそも「富江」って何なんだ?

富江というのは、そもそも何なのだろう?

映画を観て分かったことは、

  • 殺されても蘇る
  • 男性を虜にして、殺し合わせる
  • 最終的に、殺される(でも蘇る)
  • 明治時代にはすでに存在していたようだ

ということ。

さらに調べてみると、「バラバラにされても、たとえ一滴の血液からでも、その欠片の一つ一つから一体の富江が再生する」とのこと。

世界中が富江で埋め尽くされる日も近い。

『富江』という作品の恐いところは、富江の正体が分からないところにあると思う。

得体の知れないものへの恐怖。

確かに存在しているのに、人間の形をしているのに、人間ではない何か。

殺しても死なない、歳を取らない、バラバラにされても再生する。

何だかわからない存在に対して、人は不安になるもの。

富江って、何者なのだろう?

愛や恐怖は殺意に繋がる

富江は関わった男性たちを魅了し、虜にし、そして最終的に、魅了された男性に殺される。

富江を独占したい。富江が恐ろしい。男性が富江を殺す理由は、もとを辿れば富江に対する愛や恐怖。

富江を愛しすぎてしまったが故に、富江を他の男に取られたくないが故に、富江を殺してしまう。

そうでなければ、あまりにも美しく、そして美しいままでいる、不死身の富江という存在そのものに恐怖して、富江を殺してしまう。

恐怖するあまり相手を殺してしまうのは、まだ理解できる。防衛本能が働いているのだろう。

では、愛するあまりに相手を殺してしまうのは?

殺してしまえば、もう二度と相手と会うことはできない。

それでも殺してしまう。

他の誰かに盗られたくない。美しいまま記憶に留めておきたい。

愛は狂気。愛は人を狂わせるものなのだろう。

月子と富江

富江は月子に言った。「私はあなたで、あなたは私なのよ」と。

そしてラストシーン。

月子は自分を撮った写真を見て驚く。

「左目の下にホクロがある」

左目の下のホクロは富江の特徴の一つ。

確認するために鏡を見る月子。

そんな月子に笑顔で寄り添う富江。

はたして、あの湖の桟橋で富江を燃やした後、月子と富江の間に何があったのだろう。

月子と富江は和解して、一緒に住んでいるのだろうか?

事実はどうか分からないが、少なくとも、月子の左目の下にホクロができていたのは事実。

「私はあなたで、あなたは私なのよ」という富江の言葉。

月子は、分裂した富江の一人なのだろうか?

それとも、普通の人間だった月子が「富江化」したのだろうか?

よく分からない。

そして、この「よく分からない」という感覚が「気味悪い」に変わり、『富江』という映画を不気味なものにしているのだろう。

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