映画『きみに読む物語』は、2004年公開、ニック・カサヴェテス監督、ライアン・ゴズリング、レイチェル・マクアダムス出演によるラブストーリー。
映画『きみに読む物語』あらすじ
とある老人養護施設にて、一人の男性が、一人の女性に物語を読み聞かせていた。
その物語は、若い二人のラブストーリー。1940年のアメリカ南部、シーブルックから物語は始まる。
物語の主人公は、青年ノアと少女アリー。ノアがアリーに一目惚れして、まるで映画のようなやり方でデートに誘ったことから二人の心は急速に惹かれ合う。
デートを重ね、愛を育む二人だったが、アリーの両親は二人の恋に反対する。
アリーは資産家の娘。ノアは貧しい労働者。
ついに、アリーがニューヨークの大学に行くことになり、二人は引き離されてしまう。
ノアは1日1通、計365通の手紙をアリーに送るが、返事は来なかった。そもそも、アリーの母親がノアからの手紙を隠していて、アリーのもとに渡らなかったのだ。
二人の再会は叶わぬまま、世界は第二次世界大戦へと突入していった。
映画『きみに読む物語』ネタバレ感想
映画『きみに読む物語』のネタバレを含みます。
愛を取るか、安定を取るか
『きみに読む物語』では、愛を貫きたいアリーと、娘に安定した人生を送ってもらいたい両親とが対立する。
いつの世も、親は子供に幸せな人生を歩んでもらいたいもの。
貧しい生活を送ることになると分かっているのに、アリーをノアと結婚させたいだなんて親は思わないものだろう。
愛と安定。どちらが大事なのだろうか。
愛なんてものは一時の気の迷い。やがて冷めてしまったとき、目の前にあるのは貧しい生活と、すでに愛していないかつての恋人だけ。
「もしもあの時、安定を選んでいたら。豊かな生活を約束してくれる人と結ばれていれば……」
アリーの両親は、アリーがやがて取り返しのつかない後悔をしてしまわないよう、アリーを愛しているからこそ、ノアとの交際を認めなかったのだろう。
だが、もしも、死ぬまで愛を貫き通せたら。
愛する人と生涯共に歩み、死が訪れるその瞬間まで愛し合う。
どんなに豊かで安定した生活を手に入れても、愛がなければきっと虚しいだけ。
最期まで愛し合ったノアとアリーは、世界の誰よりも幸せだったに違いない。
愛は誰かの犠牲のもとに
ノアとアリーの美しい愛。
その一方で、二人の愛が実ったために、犠牲になった人もいる。
戦争から帰って独りぼっちになったノアと身体を重ねていたマーサ。
そして、アリーと結婚直前だったロン。
二人がどうなってしまったのか、映画『きみに読む物語』では語られていない。
予想だが、ロンは数年かけて立ち直り、別の女性と結婚したのではないだろうか。
資産もあり、仕事も順調そうで、性格もよく、見た目も良い。あとは本人さえ立ち直って、良い出会いがあれば、また新しい道を歩んでいけそうだ。
では、マーサはどうだろうか。
戦争で夫を亡くし、今度はノアから別れを告げられてしまう。
もしかしたら、ノアとアリーが結ばれたことによる最大の被害者はマーサかもしれない。
愛を実らせること。その裏で辛い思いをする人。
マーサの人生が幸せに溢れたものであったことを願う。
【本作】
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