映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』は、2021年公開、イシグロキョウヘイ監督、 市川染五郎、杉咲花出演による青春ラブストーリー。
映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』あらすじ
他人と話をしたり、人前で話をするのが苦手な少年チェリー。
歯列矯正中の大きな前歯を隠すためにいつもマスクを着けている少女スマイル。
ショッピングモールで知り合った二人は、あるおじいさんの願いを叶えるために奔走することに。
おじいさんの願い。それは、無くしてしまった想い出のレコードを探すこと。
レコード探しを通じてチェリーとスマイルの距離は縮まってゆくのだが、チェリーは引っ越すことをスマイルに言い出せずにいた。
映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』ネタバレ感想
映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』のネタバレを含みます。
レコードを探して
フジヤマおじいさんはずっとレコードを探していた。
そのレコードは、今は亡き愛する妻の歌声が納められたもの。
フジヤマおじいさんはそのレコードをもう一度聴いて、大切な人との記憶を思い出したかった。
人は、誰かのことを忘れるとき、最初にその人の声を忘れてしまうという。
もしかしたら、フジヤマおじいさんは、大切な人の声を思い出せなくなっていたのかもしれない。
そして、その声をもう一度聴けたら、愛する人の記憶を思い出せると考えていたのかもしれない。
お祭りの会場で歌声を聞いたフジヤマおじいさんは、その瞬間に涙を流し、そして想い出も蘇った。
たとえ忘れてしまっても、それは失われてしまったのではなく、思い出し辛くなっているだけ。何らかのきっかけがあれば、大切な人との想い出は蘇るのだろう。まるで今この瞬間の出来事のように。
想いを言葉に
チェリーは人前で話すのが苦手だ。言葉を紡ぐのが苦手なわけではない。現に、自作の俳句をSNSに投稿している。
だがどうしても、チェリーは面と向かってスマイルに想いを伝えられない。
チェリーとスマイルは一緒にレコード探しなどをすることで心の距離を縮めていた。傍から見ていると、あとはもう想いを伝えるだけなのは明らかなのに、当の本人は言い出せずにいる。
そのまま街を出ていこうとしているチェリーを引き留め、行動に移させたのは、ビーバーたち仲間の思い。
チェリー自身が作った俳句で、チェリーはスマイルへの想いを強くし、そしてついにはマイクを握り、つたなくも自分の言葉でスマイルに想いを告げた。
どんなに心が惹かれあっていても、言葉にしなければ伝わらないこともある。
どんなにつたなくても、真摯な想いのこもった言葉は伝わるもの。
観ているこちらが恥ずかしくなってしまうくらい純粋で、不器用だけどまっすぐな想い。
きっと、二人の、そして二人の仲間たちの見ている世界は、この映画の世界のように眩しく輝いているのでしょう。
【本作】
【『サイダーのように言葉が湧き上がる』コミカライズ版】
【『サイダーのように言葉が湧き上がる』ノベライズ版】
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