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【映画】落下の解剖学~あらすじと感想~法廷で暴かれる夫婦の姿

【映画】落下の解剖学-あらすじと感想-

映画『落下の解剖学』は2023年フランス公開の法廷サスペンス。監督はジュスティーヌ・トリエ、主演はサンドラ・ヒュラー。

カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。

第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門にノミネート。

映画『落下の解剖学』あらすじ

人里離れたフランスの雪山で、一人の男性が転落死する。

当初は事故と思われたが、不審な点が多く、前日に夫婦ゲンカしていたことから、妻でベストセラー作家のサンドラに疑惑の目が向けられ始める。

証人は視覚障がいを持つ息子のダニエルだけ。

サンドラは必死に無罪を主張するが、事件の真相が明らかになるにつれ、仲むつまじいと思われていた夫婦の間に隠された秘密や嘘が暴露されてゆく。

映画『落下の解剖学』感想

映画『落下の解剖学』のネタバレを含みます。

愛が憎しみに変わった

容疑者として名前が挙がったのは被害者の妻。

物的証拠はほぼ無い。目撃者ゼロ。

裁判が続くにつれあきらかになるのは、崩壊していた夫婦の姿。

かつて愛しあった二人の、修復不可能とも思えるところまで落ちた姿が晒されてゆく。

夫婦の関係が本格的に落ちるきっかけとなったのは、一人息子の視力を奪った事故。

夫に責任があると考えた妻は、夫に恨みを抱く。

夫も妻に悪感情を抱く。妻の浮気。家事の分担は夫に片寄り、仕事でも、夫が自分のために考えた案で妻が成功してしまう。おまけに妻は自己正当化ばかり。

本作の開始時点で、すでに夫婦関係は破綻していたと言えるだろう。

息子の立場

一人息子の立場も危うい。

まだ親の保護が必要な年齢。

もしも母が不利になるような証言をすれば、有罪となれば物理的に親と離ればなれに、無罪となれば心理的に親との距離が離れてしまう。

身を守るためにも、あのような証言をするしかなかったのだろう。

判決は下ったが……

本作は判決がくだり、決着がつく。

だがどこか納得のいかない感じが残るのは、決定的な証拠が無いからだろう。

妻には動機がある。だが証拠がない。

本作は妻が、邪魔な夫を排除して新しい人生を手に入れるための戦いを描いた物語だったのではないだろうか。

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