ドラマ『ロア~奇妙な伝説~シーズン2 6. ジャック・パーソンズ:悪魔と神』はホラー系の海外ドラマ。
ドラマ『ロア~奇妙な伝説~シーズン2 6. ジャック・パーソンズ:悪魔と神』 あらすじ
1952年、カリフォルニア。
ある男が実験を行っていた。
男が作っていたのは、とある薬品。男はその薬品を使ってロケットを飛ばそうとしていたのだ。
作業場には他に誰もいない。
一人で作業している男は、うっかり薬品の入ったフラスコを落としてしまう。
この物語は、男がフラスコを落とし、そのフラスコが床に落ちるまでに、男の脳内を駆け巡った過去の出来事を綴った物語。
魔術とSFに憧れ、ロケット工学の道を歩み、新興宗教団体で牧師になった、そんな男の一生を描いたドラマである。
ドラマ『ロア~奇妙な伝説~シーズン2 6. ジャック・パーソンズ:悪魔と神』 感想
ドラマ『ロア~奇妙な伝説~シーズン2 6. ジャック・パーソンズ:悪魔と神』のネタバレを含みます。
魔術と科学
ジャックは科学者であると同時に魔術も信じていた。科学者の中では、相当珍しい存在だったことだろう。
科学者として、当時は不可能と思われていたロケットの研究に没頭し、同時に、魔術でロケットを飛ばそうとしていた。
結局、その魔術が原因で、ジャックは科学界を追放されてしまった。
飛ばそうとしているロケットの前で呪文めいたものを唱えたり、爆発したロケットを見て「赤い服の女が!」などと言っていれば、追放はやりすぎかもしれないが、相手にされなくなるのは当然のことだろう。
魔術は非科学的なものと考えられている。科学者が心酔するようなものではないだろう。
魔術の中でも、錬金術などは化学と言える部分もある。だが、ジャックが信じていた魔術は、他の科学者にとっては到底受け入れられるものではない。
ジャックは特別だったのか?
ジャックが魔術にも科学にも心酔した理由は、幼少時代の興味と、時代背景にあるようだ。
幼少時代のジャックは、黒魔術にハマッていた。
悪魔を呼び出そうと魔法陣を描き、その中心で呪文めいたものを唱える。
ジャックが呼び出したものは悪魔ではなく、未来の自分。死ぬ寸前の自分の姿を見たのだった。
ジャックが本当に未来の自分を見たのかは定かではない。何しろ、本人がそう言っていただけなのだから。
だが、幼少時代にそんな体験をすれば、魔術に心酔してしまうのもあり得ることだろう。
さらに、ジャックが育った時代は、SFが大流行していた時代。
好奇心が強い少年が魔術と科学に出会い、宇宙の神秘を解き明かそうとする。
ジャックは何も特別な存在ではなく、己の好奇心に純粋に従って生きてきただけなのだろう。ジャックは他の科学者と何ら変わることはない、好奇心が強く、科学者になれるほどの頭脳を持っていた人なのだろう。
ただ一つ違っていたのは、魔術に心酔していたことだけ。
「宇宙の神秘を解き明かしたい」と願ったジャックは、そもそもそう願った最初の理由は、魔術絡みだった。
宇宙の神秘
魔術と科学、両方を持って宇宙の神秘を解き明かそうとしたジャック。
幼少時代に見た「赤い服の女」を追い求めたジャック。
ロケットを作り、宇宙を目指そうとしたジャック。
死の間際、ジャックはついに宇宙の神秘を解き明かした。
この宇宙にある物質は、新しく作られることも破壊されて消滅することもない。
分解されたり他の物質に変化することはあっても、消え去ることはない。
ジャックを構成している物質は、ジャックの死後、分解され、世界に、宇宙に放出される。
放出された物質は、宇宙を漂い、いつの日か、再び何かを構成するかもしれない。
ジャックを構成していた物質と、マージを構成していた物資が、遠い未来に同じ物(何らかの生物かもしれないし、石などの無機物かもしれない)を形成するかもしれない。
そう。とてつもなく長い目で見れば、この世の全ての物質は、人間も、石も、空気も、数に限りのある粒子が一つにまとまったり離れたりしているだけ。
この宇宙にある物質は、バラバラなのではなく、一つなのだ。
これがジャックの辿り着いた宇宙の神秘だった。
確かに、その通りだ。無限とも言える長い時間軸で考えれば。
この世に生きる全てのものが、もしかしたら遠い昔に、自分と同じものを構成していたのかもしれない。
もしかしたら、私が今使っているパソコンと私の体の中には、遠い昔に同じものを形成していた粒子が存在しているかもしれない。
そう思うと、このパソコンが急に愛おしく……、なるだろうか?