映画『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』は2003年公開のファンタジー作品。監督はピーター・ジャクソン。出演はイライジャ・ウッド、ショーン・アスティン、イアン・マッケラン、ヴィゴ・モーテンセン。
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの第3部にあたる作品。
第1部・第2部については以下の記事をご覧ください。
映画『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』あらすじ
ローハンでの戦いに勝利したアラゴルンたちは、サルマンの砦アイゼンガルドに向かった。
水没したアイゼンガルドで、アラゴルンたちはメリーとピピンと再会する。
アイゼンガルドを探索するアラゴルンたち。ピピンは水に沈んだパランティーア(サルマンが使っていた遠くを見る石)を発見する。
ガンダルフはピピンからその石を取り上げるが、ピピンは石のことが気になっていた。
同じ頃、フロドとサムはゴラムの案内で滅びの山への旅路を急いでいた。
フロドとサムを陥れようと企むゴラム。
ゴラムを信用できないサム。
そして、ゴラムの道案内が必要だと主張するフロド。
ゴラムが言葉巧みにフロドの心をサムから遠ざけ、更には指輪の力も加わり、ちょっとしたきっかけでフロドはサムを突き放してしまう。
ゴラムと二人だけになったフロドの前に、新たな脅威が待ち受けていた。
映画『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』感想
映画『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』のネタバレを含みます。
猜疑心
ゴラムの企みで、フロドとサムの絆に亀裂が入ってしまった。
指輪の力もあったのだろう。
フロドの中に小さく芽生えていた「サムも指輪を欲しがっている」という疑いが、サムが指輪を渡すように言ってしまったことで確信に変わってしまったのだ。
サムは、苦しむフロドを見て、少しでも苦しみから救おうとしただけ。
でも、フロドの中で積み重なった猜疑心がサムを突き放してしまった。
私達の生活でも、ちょっとした疑念で関係が崩れてしまうことがある。
「この人は何でこの程度のことでこんなに怒るんだ?」と思った時、もしかしたら、あなたのこれまでの言動が相手に小さな猜疑心を植え付け、それが積み重なって爆発したのかもしれない。
「嫌なら嫌と、その都度はっきり言ってくれ」と思うかもしれないが、そもそもあなたが相手に意見を言わせない空気を醸し出しているのかもしれない。
また、もしかしたら、相手があなたのことを信頼しているからこそ、小さな疑念があっても何も言わなかったのかもしれない。
フロドとサムの関係も、フロドがサムを信頼していたからこそ、突き放すという行動に出るまで疑念を積み重ねてしまったのかもしれない。
サムの勇姿
滅びの山に到達し、火口に近づくにつれ、指輪の力も増してきた。
フロドはもう、指輪の魔力だけでも相当に気力も体力も消耗しているようで、火口を前にしてついに倒れてしまった。
そんなフロドを助けたのは、やはりサム。
「指輪を永遠に葬るのです。行きましょう」とフロドを勇気づけ、サム自身もふらふらなのに、歩けないフロドを担いで山を登り始めた。
「あなたの重荷は背負えなくても、あなたは背負える」
温厚なサムが見せた勇姿。フロドを、そして世界を救いたいという気持ち。
サムを前進させたのは、きっと、村に住む想い人への気持ちもあったのだろう。
サムにとっての尊いものを守るため、サムはフロドを背負い、火口へと歩を進めた。
ついにフロドまでも
火口に辿り着き、あとは指輪を捨てるだけ。
だがここに来て、ついにフロドが指輪の魔力に屈してしまった。
「指輪は僕のものだ」
そこに現れたゴラム。
結果的に、ゴラムがいてくれたから指輪を炎の中に投げ込めたのだが、もしもあのままフロドが指輪を手にして行方をくらませてしまったら、中つ国は終わっていたことだろう。
指輪の魔力に取り憑かれたフロドとゴラム。
魔力のせいとはいえ、指輪に執着し、奪い合う様子は醜いもの。
何かに執着する。それ自体は悪いことだとは思わない。
だが、あまりにも執着しすぎると、愚かで醜く見えてしまう。
何かに執着しすぎて、本当に大切なものを見失わないようにしたい。
旅はまだ続く
指輪を捨てる旅は終わり、平和な時間を取り戻したフロドたち。
私としては、サムが結婚して幸せそうな家庭を築いていたのが一番嬉しかったのだが、どうやら旅はまだ終わっていないようで。
フロドの心は中つ国では完全に癒えることはなく、ついにフロドは中つ国を旅立った。
行く先はパランティーア。不死の国。
指輪を所有し、運んだフロドは不死の国パランティーアに行くことを許され、そこで心の傷を癒やすことにしたのだ。
大きな使命に代償はつきもの。
そして、旅に別れはつきものだ。
フロドと旅の仲間たちは離れ離れになってしまったが、固く結ばれた絆は永遠に消えることはないだろう。