小説『陽だまりの彼女』は、著者 越谷オサムによるファンタジー系恋愛小説。
小説『陽だまりの彼女』あらすじ
仕事で受け取った名刺に書かれていた名前。
それは、「学年有数のバカ」とよばれた渡来真緒、その人の名前だった。
十年ぶりに再開した二人の距離は次第に縮まっていく。
でも、真緒には何か秘密があるようで……。
小説『陽だまりの彼女』感想
小説『陽だまりの彼女』のネタバレを含みます。
良いか悪いかは本人次第
良く言えば「暖かな」、悪く言えば「平凡な」二人の恋模様。
偶然の再開から半ば強引な結婚。
そして、決して長くは続かなかった結婚生活。
正直言うと、途中で「あれ? 真緒ってもしかして……」と真緒の正体に気づき始めてしまい、最終的にその通りだったのだが、それでも最後まで楽しめた。
物語前半部での幸せな二人。後半部での辛い現実。
はたしてこれがハッピーエンドだったのかと、もしかしたらバッドエンドなのではないかと思えてしまうエンディング。
それでも、少なくとも物語が終わった時点では、二人は幸せなのだろう。
『陽だまりの彼女』に張られた伏線
読み終わってみれば、タイトルがもう伏線になっていたわけで。
そして、物語中で真緒がとる行動がもう、真緒の正体を表していたのだ。
なので勘の良い方なら読んでいる途中で真緒の正体に気がつくことだろう。
たとえ真緒の正体に気づいてしまっても、その先の展開が気になってしまう魅力。
前半部であれだけ可愛らしくて幸せな二人の姿を見せられたら、もう真緒の正体がなんだろうと関係なく、ただただ二人が幸せになってほしいと願い続けていた。
幸せの形は本人たちが決めること。
たとえ今までと同じではいられなくなってしまったとしても、本人たちが幸せなら、外野がとやかく言うことではないのだろう。
二人の今後
はたして、二人は今後も『夫婦』として生活していくのか?
真緒の性格からして、浩介に新しい恋人ができそうになったら全力で阻止しようとするような気もする。
形は変わってしまったが、二人は最期まで添い遂げるような気がする。
同じような別れと再会を繰り返しながら。
大切な人がそばにいる、ということ
人を思う気持ちの強さ。
大切な人がいるだけで、人はこんなにも強く、そして優しくなれる。
読んでいる間、ずっと頬が緩みっぱなしだった。
【本作】
【『陽だまりの彼女』映画版】