映画『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』は、2016年公開、あんど慶周原作、福田雄一監督、鈴木亮平、清水富美加、片瀬那奈、ムロツヨシ、安田顕、柳楽優弥出演による変態アクション。
映画『HK/変態仮面』シリーズ第二弾。
映画『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』あらすじ
変態仮面でもある色丞狂介は大学生になっていた。
姫野愛子と恋人になり幸せな大学生活を送れる、と思いきや、二人の関係はギクシャクしている。
というのも、狂介が相変わらず変態仮面になって活動していることを愛子は良く思っていないのだ。
愛子と恋人同士でいたい、けど、変態仮面として正義の為に戦いたい。狂介は悩んでいた。
結局、狂介は変態仮面になることをやめ、今まで使っていた愛子のパンティを愛子に返すことに。
時を同じくして、奇妙な事件が発生する。
狂介の周りから、日本から、そして世界から、パンティが消えてしまったのだ。
パンティがなければ変態仮面に変身できない狂介。
史上最大の危機を迎えた色丞狂介の前に、倒したはずのあの男が再び立ちはだかるのだった。
映画『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』感想
映画『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』のネタバレを含みます。
正義をとるか、愛をとるか
色丞狂介は悩んでいた。これからも変態仮面として正義を守るのか、変態仮面をやめて愛子との愛を貫くのか。
愛子にしてみれば、自分の愛する人が変態であることは当然イヤだろう。
そして恐らく、自分の愛する人が危険な戦いに身を投じることも相当イヤだったに違いない。
犯罪を取り締まるのは警察に任せておけばいい。愛子は心から狂介を心配して、変態仮面をやめてほしかったのだろう。
だが、狂介にとって、変態仮面になることは正義を守ること。
強い正義感を持った狂介にとって、変態仮面をやめることは、身を切られるような決断だったに違いない。
自らにとって大切な二つのこと。狂介にとっては愛子への愛と変態仮面として正義を貫くこと。そのどちらか一方しか選べないとは、何と辛いことだろう。
どちらか一方を選び、もう一方を切り捨てた時、果たして、狂介は以前と同じ狂介なのだろうか。
愛子を愛する、変態仮面でもある狂介。これこそが愛子が愛した色丞狂介なのではないだろうか。
愛子は狂介に変態仮面であることをやめるよう迫ったが、もしも狂介が完全に変態仮面をやめてしまった時、愛子は狂介を同じように愛し続けることができるのだろうか。
パラレルワールドの世界になってしまうが、狂介が変態仮面になることをやめ、なる必要もなくなった世界で二人の関係がどうなるのかも見てみたい(あまり面白くはなさそうだけれど)。
大いなる愛の力
変態仮面は本来、使用済みのパンティでしか変身できない。
だが、変態仙人のもとで修行を積んだ狂介は、新品のパンティでも変身できるようになった。
禁欲生活により、『新品のパンティからでも愛子の匂いを感じることができるようになった』から。
気持ちが悪い。
これこそ、愛の力がなせる業なのだろう。
愛子への深い愛が、狂介に特殊能力を与えたのだ。
さらに、絶命した狂介は、愛子が一度履いたパンティで復活した。
清々しいまでに変態である。もう気持ち悪いとも思わない。
愛の力は偉大だ。
愛する人のためなら、変態仮面は死の淵からも復活する。
現実でも、自らのピンチの時、そして愛する人がピンチの時、大きな力を発揮することがある。
いわゆる『火事場の馬鹿力』だ。
『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』でも、愛子が狂介のために火事場の馬鹿力を発揮するシーンが有る。
愛子の狂介を想う気持ちもまた、強大なものなのだろう。
細い腕で鎖を引きちぎるほどに。
人間というものは、愛のためならどこまでも強くなれるものなのだろう。