
今日は『日輪の遺産』という第二次世界大戦末期の日本を舞台にしたファンタジー映画のあらすじと感想を書いていくよ

ちゃんと「ファンタジー」って言っておかないと、事実だと勘違いしちゃうかもだよね

うん。物語は『マッカーサーの隠し遺産を日本が手に入れて、それを隠した人たちの話』なんだけど、そもそも『マッカーサーの隠し遺産』自体が作り話なんだよね

原作は浅田次郎さんのベストセラー小説。隠し遺産に関わった人たちの心情とか辛さとかが描かれたヒューマンドラマです
原作小説
映画『日輪の遺産』基本情報とあらすじ
タイトル | 日輪の遺産 |
ジャンル | ヒューマンドラマ |
原作者 | 浅田次郎 |
監督 | 佐々部清 |
キャスト | 堺雅人 |
公開年 | 2011年 |
原作 | 日輪の遺産(徳間文庫) |
備考 | ウィキペディア『日輪の遺産』ページ |
あらすじ
1945年8月10日。
真柴司郎少佐と小泉重雄主計中尉は重大な密命を帯びる。
「マッカーサーの財宝900億円を隠匿せよ」
密命、つまり、他の誰にもこの任務のことを明かしてはいけない。
なぜなら、この900億円の財宝は、敗戦後の復興のために使われるもの。
つまり、二人がこの密命を受けた時点で、軍の上部は敗戦を確信していたのだ。
二人は望月曹長と共に任務を遂行する。
さらに、財宝の運び手として、20人の少女たちが呼ばれた。
20人の少女たちは、自分たちが運んでいるものは新型砲弾だと言われ、それを信じていた。
任務も終わろうとしていた頃、少女たちに対して非道な決定が下される。
だが、真柴が上層部に掛け合い、この決定は無効であることが確認された。
ところが、時を同じくして日本が敗戦を受け入れ世の中が混乱する中、手違いで少女たちの運命は狂い、悲劇へと突き進んでしまうのだった。
映画『日輪の遺産』感想

ネタバレを含みます
誰にも言えない苦しみ
マッカーサーの隠し財産。
密命であったため、この隠し財産が存在することも、隠したことも、誰にも言えずに歳を重ねてきた望月と久枝。
隠し続けなければならないということは、どれほど辛いことだろう。
望月は財産を隠した場所とその近辺の土地を買い占め、それにより周囲からの評判は悪かったようだ。
望月が土地を買い占めていたのは、もちろん、隠し財産を発見されないようにするため。
たとえ周囲から悪く思われようと、密命を守り、そして亡くなった者たちの意思を継ぎ、その意志を貫き通したのだ。
これがどれほど辛いことだっただろう。
自分の行動には正当な理由がある。だが、それは言えない。
話せばきっと分かってもらえる。だが、話せない。
望月が土地を買い占めていた本当の理由を知らない人たちは、望月のことを悪く言う。
周囲の人達から悪く言われて幸せになる人などいないだろう。
「いっそ、すべてを話してしまおうか」そう思ったこともあったのではないだろうか。
望月が死の直前に真柴から聞いたという「もう命令は守らなくて良い」という言葉。
この言葉は、望月が心の底でずっと望んでいた言葉だったのではないだろうか。
命令から解放されたい。
その思いが、死の間際、望月に『真柴からの言葉』として現れたのかもしれない。
仲間はずれ
久枝は、亡くなった19人の少女たちを祀った石碑の前で、自分のことを仲間はずれと言った。
久枝は、自分だけが運良く生き残ったことを悔やんでいたのかもしれない。
ラストシーン。久枝の前に19人の少女と先生の霊が姿を現す。
皆一様に笑顔で、誰一人として久枝を恨んだりしていなかった。
きっと、死んだ自分たちの意思を継ぎ、財宝を守り続けてくれたことを感謝していたのではないだろうか。
そして、守り続けることの苦しみを理解していたのではないだろうか。
生き残ったものと亡くなったものという違いはあれど、同じ命令により運命を決められ、同じ意志を貫き通した仲間なのだから。
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