
今日は『それでも夜は明ける』という、実話を元にした映画のあらすじと感想を書いていくよ

アメリカで奴隷にされた黒人男性が書いた体験記が元になっているんだよね。これが実話だってことが悲しいよ

この映画は娯楽作品じゃなく、後世に悪しき歴史を伝えて二度と同じような悲劇が繰り返されないように啓蒙するための作品だよね

うん。これは作り話じゃなくて事実なんだって、過去にこんなことが実際に起きてしまったんだよって伝えるための作品だよね
映画『それでも夜は明ける』基本情報とあらすじ
タイトル | それでも夜は明ける (原題 12 Years a Slave) |
ジャンル | ノンフィクション |
監督 | スティーヴ・マックイーン |
キャスト | キウェテル・イジョフォー |
年齢制限 | PG12 |
公開年 | 2013年(日本では2014年) |
備考 |
あらすじ
1841年、アメリカ、ニューヨーク。まだ、奴隷制度がアメリカで合法だった時代。
黒人ヴァイオリニストのソロモン・ノーサップは、自由に生きる権利を持つ自由黒人として妻と子どもたちと共に暮らしていた。
ある日、ソロモンは突然、誘拐され、薬で意識が朦朧とする中、奴隷商に売られてしまう。
「私は自由黒人だ」と主張するソロモンだったが、聞き入れる者は誰もいない。
救いの手が差し出されることはなく、ソロモンは、農場へ奴隷として売られた。
奴隷であるソロモンに人権など無く、農場主の「所有物」として理不尽な生活を送ることに。
もはや人間として扱われず、家畜のように、物のように扱われながらも、ソロモンは、それでも再び妻と子たちと再会する日が来ることを信じて生き続ける。
映画『それでも夜は明ける』感想

ネタバレを含みます
奴隷を使う側の気持ち
奴隷を「所有物として」使っていた人たちはどんな気持ちだったのでしょう。
今の私達から見れば、紛れもなく人間のクズであり、憎むべき対象です。
では、映画『それでも夜は明ける』に登場した白人たちはどうだったのでしょう。
アメリカの奴隷制度は約200年も続きました。映画『それでも夜は明ける』はアメリカの奴隷制度が廃止される寸前の物語。つまり、映画に登場した白人たちにとって、奴隷制度は生まれたときから当たり前に存在していた制度です。
おそらく、農園で黒人奴隷を使っていた白人たちにとっては、黒人奴隷を使うのは当然のこと。黒人奴隷は金で買える所有物であるのは当然のこと。彼らの親よりもずっと前の世代から続きてきた「当然のこと」だったのでしょう。
想像してみてください。自分が生まれた時にはすでに奴隷制度は当たり前の制度だった場合、その「当たり前の制度」に疑問を持ちますか?
ソロモンを最後まで奴隷として「所有」し続けたエップスは、ソロモンが連れ戻される時に言いました。
「私の奴隷だ」「売買を証明できる」「私がお前の主人だ」
完全に、エップスはソロモンを「所有物」として見ていました。
もちろん、奴隷を使っていたすべての白人がエップスと同じだったわけではないでしょう。
良心に痛みを感じていた人もいたことでしょう。
ですが、奴隷制度が当たり前だった状況、そして、奴隷を使わなければ農場を経営していくことが出来ない(つまり、破産する)状況などが重なり、結果、自分を救うために奴隷を使わざるを得なかったのでしょう。
どんな理由があったとしても、人間を奴隷として、「所有物」として扱って良いはずがありません。
二度と、奴隷制度などという悲劇が繰り返されないためにも、過去の愚かな事実から学び、考えていかなければならないでしょう。
無念
ソロモンは約12年にも及ぶ奴隷生活の末、運良く助かりました。
エップスの農園から連れ戻される時のソロモンの心境はどうだったのでしょう。
解放された喜び、妻や子どもたちと再会できる嬉しさ。一方で、「自分だけが救われる」「他の黒人奴隷たちを残していかなければならない」という苦しみも感じていたことでしょう。
ソロモンは解放された後、奴隷解放運動に身を投じたそうです。
やがて南北戦争で北軍が勝利し、1865年に奴隷制度は廃止されます。
ソロモンが誘拐され奴隷にされたのが1841年。そしてソロモンが解放されたのが約12年後なので1853年。奴隷制度が廃止されたのが1865年。
12年。ソロモンが解放されてから奴隷制度が廃止されるまでに12年。ソロモンは、どれだけ苦しかったことでしょう。
ソロモンが実際に奴隷として使役された12年。ソロモンが解放されて奴隷制度が廃止されるまでの12年。合わせて24年。少なくとも24年もの長い年月、ソロモンは奴隷制度で苦しめられたことでしょう。
何も悪くない
ソロモンは妻や子どもたちと再会した時、「許してくれ」と言いました。
12年もの年月、不在にしてしまったこと、不安にさせたこと、悲しませたこと。私にはきっと想像もできないような感情がソロモンの中に渦巻き、溢れ出て、「許してくれ」という言葉となったのでしょう。
ソロモンは何も悪くありません。悪いのは奴隷制度。そして奴隷制度を金儲けのために使った人間たち。
何も悪くないソロモンが長年に渡り苦しめられた一方で、本当に罰せられるべき人間は罰せられないという現実。
この映画『それでも夜は明ける』が作り話などではなく実話なのだと、私達は心に刻み込む必要があるでしょう。
同様の悲劇を繰り返さないために。
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