
今日は『ボーダーライン』というサスペンス映画のあらすじと感想を書いていくよ

メキシコの麻薬カルテルとの戦いを描いたお話だよね。この映画はフィクションだけど、メキシコって絶対に近づいちゃいけない地域があって、その地域では『ボーダーライン』で描かれていたことが現実に起きているんだよね

メキシコも治安の改善に努めているそうだけど、麻薬カルテルの力が強すぎるらしいし……

麻薬カルテルと戦う側も、まじめに法律を守ってなんていられないんだよね、きっと
映画『ボーダーライン』基本情報とあらすじ
まずは、映画『ボーダーライン』の冒頭部分をご覧ください。
タイトル | ボーダーライン (原題 Sicario) |
ジャンル | クライム・サスペンス |
監督 | ドゥニ・ヴィルヌーヴ |
キャスト | エミリー・ブラント |
公開年 | 2015年(日本では2016年) |
年齢制限 | R15+ |
備考 |
あらすじ
アメリカ、アリゾナ州チャンドラー。
ある一軒の家に武装したFBIチームが奇襲攻撃を仕掛ける。
容疑は誘拐。容疑者たちの反撃に遭うも、FBIチームは容疑者宅を制圧する。
家の中を調べていると、壁の中に何かがあることに気付く。そこにあったのは、無数の死体。
誘拐された被害者たちの死体が壁の中に隠されていたのだ。
FBIチームのリーダーであるケイトは、現場から戻ると上司に呼び出される。
ケイトは、麻薬組織の捜査にあたっているチームに推薦されたのだ。
今回の誘拐事件の主犯がこの麻薬組織のボスであることを知ったケイトは、チームに参加することを志願する。
この時、ケイトはまだ知らなかった。
自分がなぜチームに推薦されたのか。
そして、自分がどんな世界に身を投じてしまったのか。
麻薬組織との戦いを目の当たりにするにつれ、ケイトの中で善と悪のボーダーラインが揺らいでいく。
映画『ボーダーライン』感想

ネタバレを含みます
メキシコの麻薬戦争
映画『ボーダーライン』はフィクションですが、メキシコが麻薬の世界的な生産・中継国であることは事実です。
1990年台に、それまで強大な力を持っていたコロンビアの麻薬カルテルが壊滅し、それに伴いメキシコの麻薬カルテルが勢力を伸ばしてきました。
一時期、麻薬カルテルの力が強くなりすぎて、警察や軍でさえも手に負えない状態になっていました。
ですが、長年に渡る浄化作戦の結果、8万人とも言われる犠牲者を出しながらも、麻薬カルテルの弱体化に成功しています。
ただし、完全に解決したとは言い切れず、むしろ今もメキシコは麻薬の世界的な生産・中継国であり続けています。
ボーダーライン
映画『ボーダーライン』のタイトルであるボーダーライン(境界線)とは、アメリカとメキシコの国境という意味と、善と悪の境界線という意味の、二つの意味が込められています。
アメリカに流入している麻薬の70パーセントはメキシコ経由だと言われていて、映画『ボーダーライン』でも、アメリカ国境に近いシウダー・フアレスが舞台になっていました。
そしてそのシウダー・フアレスで行われた作戦を通じて、ケイトの中で善と悪の境界線が揺らぎます。
一般市民がいる中での銃撃戦。
制御できない悪を制圧し、代わりに制御できる悪に支配させようという作戦。
違法な捜査・作戦を合法だったと報告させようとする脅迫。
常軌を逸した悪を制圧するためには、正義の側も常軌を逸していないと対応できないのでしょう。
なぜ撃てなかったのか?
映画『ボーダーライン』のラストシーンで、なぜケイトはアレハンドロを撃てなかったのでしょうか?
ケイトは、アレハンドロに銃を向けていた時、感情的になっていたと考えられます。その直前にアレハンドロに殺されかけていたのですから。
あのままアレハンドロを撃っていてもおかしくなかったのに、撃てなかった(撃たなかった)。
ケイトの心の中で、相当な葛藤があったことでしょう。
撃ってしまえば、自分も悪の側に堕ちてしまう。
アレハンドロのやっていることは法的には許されることではないが、アレハンドロのようなやり方じゃないと解決できない事件を目の当たりにしてしまった。
ケイトがアレハンドロを撃てなかったのは、ケイトの中で何が善で何が悪かが分からなくなってしまったからではないでしょうか?
ケイトはFBI捜査官として、数々の修羅場をくぐり抜けてきたはずです。映画『ボーダーライン』の冒頭で描かれていた誘拐事件のような異常犯罪の現場も、きっとこれまでに幾度となく経験してきたことでしょう。
そんなケイトでさえ常軌を逸していると感じてしまう世界。
そんな世界には、アレハンドロのような人間が必要だと考えたのかもしれませんね。
汚職警官
映画『ボーダーライン』では、メキシコの汚職警官についても語られていました。
なぜ、警官なのに麻薬カルテルに買収されてしまうのか?
答えは案外簡単かもしれません。
言うことを聞かなければ殺すと脅される。
妻や子供を殺すと脅される。
そして、脅しだけでなく現実に、映画『ボーダーライン』でも描かれていたような街中に吊るされた死体などを見ていれば、恐怖心から買収に応じてしまう人がいても何らおかしくありません。
正義感の強い人でも、愛する家族が拷問され、悲惨な殺され方をされると思えば、従ってしまうこともあるでしょう。
汚職は悪いこと。でも、一方的に責めることができますか?
汚職警官を擁護する気はありませんが、その背景を考えると、一方的に責めることもできないのではないでしょうか?
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