
今日は『漫画家、パーキンソン病になる』というノンフィクション漫画のあらすじと感想を書いていくよ

著者は島津郷子さん。パーキンソン病を発症して、症状を軽くするための手術を受けて退院するまでを描いたエッセイ漫画です

内容の大半はパーキンソン病と診断されるまでの苦しい日々(7年)で占められているけど、もっと早くパーキンソン病だって診断されていればもう少しポジティブになれたのかな?

鬱病の薬のせいで精神的に不安定になっていたみたいだし。でも7年は長いよね……
マンガ『漫画家、パーキンソン病になる』基本情報とあらすじ
タイトル | 漫画家、パーキンソン病になる |
著者 | 島津郷子 |
出版社 | ぶんか社 |
ジャンル | エッセイ 闘病記 |
出版年 | 2016年 |
あらすじ
人気漫画家 島津郷子さんは、ある日突然、身体に異変を感じます。
右手が震える。
初めは、忙しい日々から来る不健康・不摂生によるものと考えていた島津さん。
病院に行って診察を受け、精神的なものと判断されて、精神安定剤などを処方されます。
その薬によってうつ状態になってしまい、さらには友人からパーキンソン病について聞いた島津さんは不安とうつ状態とで精神的に不安定に。
その後、パーキンソン病に効く薬『マドパー』を飲んだところ、効果あり。
マドパーが効果あったことで、島津さんはますますパーキンソン病の疑いを強めていきますが、医師たちは誰もパーキンソン病だと認めません。
結局、いくつもの病院を受診し、精神科にも入院し、7年もの歳月をかけ、ついにパーキンソン病だと診断されるのでした。
タイトルと内容
タイトル『漫画家、パーキンソン病になる』から、「パーキンソン病の闘病記」を想像する方も多いと思います。
この漫画は、大部分が「パーキンソン病と診断されるまでの不安な日々」で占められています。
パーキンソン病の闘病記を期待して読むと期待はずれかもしれません。
ですが、パーキンソン病と診断されるまでに7年もかかったこと、それまでに不安やうつ病薬などにより精神的に不安定になったことなどが赤裸々に書かれたこの本は貴重です。
『読んで勇気をもらえる』という類の本ではないかもしれませんが、難病に苦しむ人のリアルな心情が描かれています。
マンガ『漫画家、パーキンソン病になる』感想
たらい回し
著者は、かなり早い段階で自身がパーキンソン病ではないかと疑いを持ちます。
マドパーという薬が効いたことで疑いは更に強くなりました。
ですが、結局、著者がパーキンソン病だと診断されるまでに7年の年月が流れてしまいました。
この7年間に、著者は精神安定剤を飲み、精神科に入院し、精神的に不安定になっていきます。
著者の元々の性格は分かりませんが、抗うつ薬などにより精神状態が不安定になり、思考もネガティブになったことも十分考えられます。
また、パーキンソン病という不治の病に罹っているかもしれないという疑い、一生寝たきりになるかもしれないという恐怖も、著者をネガティブにさせたのかもしれません。
せめて、もっと早い段階でパーキンソン病だと診断されていれば。
少なくとも、著者が精神的に不安定になり、苦しむことも少なかったことでしょう。
なぜ、7年もかかってしまったのか。
極めて珍しい病気だったこともあるでしょう。
ですが、それ以前に、医師たちが本当に患者本人を見ていたのかが疑問に思えます。
データしか見ていなかったのではないか。精神科に入院していたという事実により思考にバイアスがかかっていたのではないか。
著者がパーキンソン病と診断されたシーンを見て、医師に対して憤りを覚えました。
脳深部刺激療法(DBS)
著者が受けた脳深部刺激療法(DBS)という手術。
パーキンソン病の症状を『軽減』するための手術なのですが、私はこの治療法を知りませんでした。
もしかしたら患者本人でさえ、知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?(さすがに患者には知らされますかね?)
このような治療法があるということを世の中に知らせたということだけでも、このマンガが出版された意味は大いにあったと思います。
さらっと書いてあるけれど
著者は今、声を失っているそうです。
『漫画家、パーキンソン病になる』ではさらっとしか書いていませんが、いくら薬を飲み、軽減するための治療を受けても、病気の進行を止めることは出来ないのです。
もしも私がパーキンソン病になったら、著者の友人の父親のように自殺しているかもしれません。
著者はきっと強い方なのでしょう。そして、支えてくれる方もいらっしゃることでしょう。
難病で苦しむ人の気持ちは苦しんでいる人にしか分からない。でも、このような闘病記により間接的に知ることは出来ます。
貴重な闘病記を著してくださった著者に感謝を。
そして、一刻も早くパーキンソン病の治療法が確立されることを心から願います。